オープンテラス『石橋縁側』を初体験!まるい笑顔で溢れるまち『石橋』で癒やされてみた-part1-

みなさん、栃木県下野市にある『石橋』という小さなまちをご存知ですか?

北関東地域を縦貫する『宇都宮線』に含まれているのですが、降り立ったことはないよという方も少なくないかもしれません。

今ではシャッターが降りてしまったお店も増えてしまいましたが、ふわふわで肉厚な鰻が楽しめる割烹料理店や創業90年を超える老舗食堂、地元民に愛される酒屋など、小さなまちながらも数多くの素敵なお店と人に出会えるのだとか。

今回、石橋駅西口を出てすぐの商店街『グリム通り』でオープンテラス(縁側)を設置しているという噂を聞きつけ、石橋駅を多く利用しながらもまだ地元のお店に足を運んだことがないライターの森谷・中山が実際に行ってみることに。

なんでも、コロナ禍で失われつつある人と人との交流機会・居場所の増加を目的に、各店舗にベンチを設置するという社会実験を行っているそう。ベンチの可能性についてまだいまいちピンときていない森谷は、どんな景色が待っているのか、余計に気になります…!

⇒オープンテラス(縁側)の設置『しもつけしき 石橋縁側』の取り組みについてはこちら

どきどき、そわそわ。

ライター森谷(左)とライター中山(右)

実は私、石橋駅の西口で降りるのは数えるほどしかありません。

緊張と期待を胸に改札を抜けると、今日1日石橋を案内してくれる下野市地域おこし協力隊の鈴木 祐磨(すずき ゆうま)さんがお出迎え!

石橋駅前で手を振る鈴木さん。爽やかな笑顔が眩しいです

ライター森谷:本日はよろしくお願いします!

鈴木さん:お願いします!石橋に来てくれて嬉しいです。早速、行ってみましょう。

平日の午前中、あたたかな陽でいっぱいのグリム通りを歩いていると、道行くおじいちゃんやおばあちゃん一人ひとりと親しげに話す鈴木さん。鈴木さんは、通りのすぐ側にある『石橋公民館』を拠点にしているため、グリム通りには知り合いが多いのだとか。人と人とのコミュニケーションが多くほっこりするまちだなあと思っていると、直ぐに一軒目に到着。

石橋縁側の魅力は、コミュニケーションのきっかけが生まれること。ほっこりやさしい親子が営む『ツノダ』さん

一軒目は、化粧品・雑貨・日用品を販売している『ツノダ』さん。お店に入ろうとすると、お母さんと息子さんがちょうど配達に向かうため車に荷詰めをしている最中!「配達も行っているなんて…」と驚きつつ取材交渉。優しい笑顔が印象的なお二人は、急遽のお願いにも関わらず快くお話を聞かせてくださいました。

『ツノダ』さん(外観)

ライター森谷:ベンチを置いていてよかったなと思うことはありますか?

息子さん:話の取っ掛かりになるっていうところはいいですよね。「このベンチ、なに?」みたいな。「まちの中にこんなお店があるんだ」と知ってもらえるきっかけにもなるのかなと思っています。

ライター森谷:確かに!コミュニケーションのひとつのきっかけにもなりますし、関係性も深まりますね。

お母さん:やっぱり若い人と会って話して、それが楽しみなんだよねえ。

お茶を追加で入れてくれるお母さん。お菓子まで出してくれました…優しさが染みる…

話を聞くと、具合が悪くなってしまった人が店先のベンチに座っていることに気が付き、お冷を出してご家族に連絡してお迎えに来てもらったこともあるそう。「思わぬところでベンチが役に立ちました」とお母さん。コミュニケーションをつないでいく以外にも、ちょっと疲れたから休みたいとき、具合が悪くなってしまったときには、街なかや地域のお店に休める場所があるということは大切なポイントだと感じました。

軒下にあるため、雨除け対策もばっちり◎どんな方にもお使いいただける空間です

ツノダさんは、春の『しもつけしき 石橋縁側』の企画にも参加していただき、今回で2回目。お店の一部を公共空間として開放することに抵抗はなかったのでしょうか。

息子さん:デメリットを全く感じなかったし、お店のスペースを一部開放するだけでまち全体の告知になるからいいなあと。『ツノダ』は国道4号線に面していて人目に付くので、「これ何だろう?」からまち全体のアクションに気が付いてもらえるきっかけになるのかなと思っています。ベンチを置くメリットって中々見えづらいと思うんですけど、置いてみることで新しいアクションが生まれるかもしれないという期待のほうが大きいですね。

写真NGなことが悔やまれるほど温かい人柄がにじみ出ていました…!心やさしい親子が経営する『ツノダ』さん。気になった方は、ぜひ足を運んでみてください◎

DATA

  • ツノダ
  • 住 所:〒329-0511下野市石橋314
  • 電 話:0285-53-0644
  • FAX :0285-53-0644
  • 営業時間:9:00〜19:00
  • 交通アクセス: JR石橋駅より徒歩3分
  • 駐車場:有り3台

 

ベンチは、心のゆとりができる場所。元気いっぱいの女将さんがお店を切り盛りする『有限会社 増山酒店』さん

地域でお店を営むお二人の温かさに触れた後、2軒目の『有限会社 増山酒店』さんへ。

増山酒店さんでは、ビール・焼酎・日本酒・ワインなどお酒好きには嬉しい多種多様なラインナップの他、お菓子やおつまみ、日常使いの食料品等も広く取り扱っています。

お店に入るとすぐ、お客さんとして訪れていた『安兵衛』さん(後ほどお邪魔させていただきます)のお母さんがなっちゃん(りんご味)を買ってくれました…!嬉しい!

突如始まるコミュニケーションを楽しみつつ、増山酒店さんでお店を切り盛りしている女将さんにお話を聞いてみることに。

ライター森谷(左)と女将さん(右)

ライター森谷:お母さんが思うまちの魅力ってなんですか?

女将さん:まちの魅力?ちょっとこれという魅力がないのよねえ(笑)。もっと何かぱっとするものないかしらなんて思うんだけどね。

ライター森谷:でも、道ですれ違う人とこんなにお話する機会って今までなかったので、すごく温かいまちだなあと思いましたよ。

女将さん:そうねえ。高校生が電車を待つ間、ここでお菓子とかカップラーメンを買ってくれるのは嬉しいね。いつもお湯を用意してあげてるのよ。

元気いっぱいの女将さん。笑顔がとっても愛らしいです

ライター森谷:そこまで用意してくれるのですね!お店の前に置いてあるベンチで買ったものをゆっくり食べられるのもいいですね。それに、ベンチが置いてあるだけで、まちの景色って全然違って見えますね。

女将さん:“駅に向かうまでの心のゆとり”ができるのよね。ちょっと疲れたら座って、お話する時間がつくれるのはすごくいいわね。

女将さんは、なんと88歳!毎朝、愛犬の散歩でまちをひとしきり歩いているそう。とびっきりの笑顔がとっても愛らしいです。

ベンチに座ってお話をする女将さん(左)とライター森谷(右)

DATA

  • 店 名:有限会社 増山酒店
  • 住 所:〒329-0511 下野市石橋241-7
  • 電 話:0285-53-0166
  • FAX :0285-53-2408
  • 営業時間:7:00~22:00
  • 交通アクセス: JR石橋駅前
  • 駐車場:有り3台 店舗裏手

 

若者や外から来た人の声をもっと反映できるまちに。長年、石橋の変遷を見てきた『髙山 久 行政書士事務所』さん

パワフルな女将さんに元気を分けてもらった後に向かったのは、『髙山 久 行政書士事務所』さん(かつては栃木県の名産品『かんぴょう』を販売していたそう…!)。

石橋縁側の企画には、実はこれから参加予定。そこで、長年事業を営む髙山さんにお話を聞いてみることに。

ライター森谷:今回、どうして石橋縁側の取り組みに賛同してくれたのでしょうか?

髙山さん:駅前商店街がどんどん廃れちゃってるので、そこを食い止めて、次のにぎわいづくりに貢献できたら良いなと思ってて。ここ、いま誰も通ってないでしょ。

髙山さんが指差す先(グリム通りの風景)

髙山さんが指差す先(グリム通りの風景)

かつてグリム通りには、スーパーマーケットや映画館、喫茶店や居酒屋が立ち並び、バスが何本も通っており、人が多くにぎわいのあるまちだったそう。この場所で生まれ育った髙山さんにとって、まちが少しずつ活気を失ってしまう光景を目の当たりにするのは、余計に悲しく目に映ってしまうのかもしれません。

ライター森谷:まちのにぎわいが減ってしまうのは悲しいですよね。髙山さんにとって、どんなまちが理想ですか?

髙山さん:若い人や外から来た人の声をもっと反映できるまちになったら嬉しいですね。我々が思いつかないような新しい発想を教えてもらえたらすごく嬉しいです。

ライター森谷:地域の人がそんな風に考えてくれているって、若い方からしてみても心強いのではないでしょうか。これから、どんな人にベンチを使ってもらいたいですか?

髙山さん:もちろん、どんな人でもいいですよ。疲れたらゆっくり休んでもらって。もっとまちの色んなところに置いたらより良いんじゃないかと思いますね。

まちについて教えてくれる髙山さん(左)とライター森谷(右)

DATA

  • 店 名:髙山久 行政書士事務所
  • 住 所:栃木県下野市石橋240-2
  • 業 種:行政書士事務所
  • 電話番号 :0285-53-1672

 

まちのにぎわいを、ひとつのベンチから。ふわふわで肉厚な鰻が楽しめる『安兵衛』さん

髙山さんとお話をする中で、石橋の歴史やベンチの可能性について深く知ることができました。その土地で生まれ育った方のお話を聞くと、“実は知らない”まちの意外な側面を知ることができてとっても面白いと実感しつつ、次に向かったのは、鰻や割烹・魚介料理が有名な『安兵衛』さん。

ライター森谷:先程はジュースもごちそうさまでした…!お店の前に置かれているベンチも素敵ですね。どうしてこの石橋縁側の企画に参加してくれたのでしょうか?

お母さん:いま、時期が時期だから難しいけどねえ。でもベンチは良いわよね、やっぱり。食べたり飲んだり、そういうときにちょっと座れるのって嬉しいね。

ライター森谷:飲食をする以外にも、ちょっと座れる場所がまちなかにあるって嬉しいですよね。この通りは高校生も多いので、活用してもらいたいですね。

お母さん:高校生、にぎやかでいいわよね。昔は大きなベンチをどの商店にも置いてたのよ。

お母さん(奥)とライター森谷(手前)

ライター森谷:そうだったのですね!

お母さん:そうよ。今は大分少なくなっちゃったけどね。昔はまち全体で色々なイベントも開催してたのよ。だからこれから、若い人たちが盛り上げてくれたらいいなと思ってるの。

ライター森谷:そういうまちのにぎわいがまた作れたらいいですね。私は都内に約3年間住んでいたのですが、飲食店で人と人とのつながりや会話って中々生まれないので、そこもすごく石橋の魅力だなと思いました。

お母さん:都内だと中々難しいけど、ここだとそうじゃないからね。お店で会話が生まれるのっていいわよね。

店先の椅子で一休み♪

70年以上続く老舗店『安兵衛』さんには、県内外問わず多くのお客さんが訪れるそう。ふわふわのうな重も、サクサクで大きい穴子天重も、どれも気になります…!(今度は絶対に食べに来こようと胸に誓う森谷)

DATA

  • 店 名:安兵衛
  • 住 所:〒329-0511 栃木県下野市石橋295
  • 電 話:0285-53-0119
  • 営業時間:昼 /11:00〜13:30夜 /16:30〜22:00
  • 休業日:日曜日(宴会等のご予約はご相談下さい)
  • 交通アクセス:JR石橋駅から徒歩5分
  • 駐車場:有り20台
  • 席 数:90席
  • 予 算 :昼 950円〜

 

少しの工夫で、お店の一角を憩いの場所に。創業91年目の老舗食堂『高砂食堂』さん

お腹も空いてきたところで、最後に向かったのは昭和5年に創業された(創業91年目)地元民に愛される『高砂食堂』さん。

ここで昼食をいただきます!

注文したのは、チキンカツのランチセット。

ご飯・味噌汁・ポテトサラダ・目玉焼き・ハム・冷奴・漬物というなんともボリューミーで嬉しいセット。こんなに沢山のおかずが付いてなんと800円。おそるべし…。

サクサクとした触感が楽しいジューシーなカツ。「揚げ物は胃に負担がかかるのでは…?」と思いきや、高砂食堂のカツはラード100%で揚げているので、さらりと食べられちゃうのが特長。一枚一枚丁寧に揚げられ、肉の旨味が凝縮した柔らかなカツは、自然と笑みがこぼれてしまうほど絶品です。

もぐもぐ…

 

うまっっっ!!

揚げたてのカツに舌鼓を打つライター中山

揚げたてサクサクのカツを求めて、女性のお客さんや学校帰りの高校生が訪れることも多いのだとか。アットホームな店内は入りやすさも◎私もふらっと昼食を食べに訪れたい…!

美味しいご飯でお腹が満たされた後は、お店を経営されているみなさんと少しお話をしてみることに。

ライター森谷:このお店はお姉さんが切り盛りされているのですか?

お姉さん:旦那の父(義父)と二人で経営しています。おばちゃん(旦那の祖母)と3人で切り盛りしてた頃は配達もしてたんですけど、いまはテイクアウトで取りに来てもらうことが多いですね。

ライター森谷:そうなのですね!家族ぐるみで経営されていて、なんだかとても温かいですね。

お姉さん:おばちゃんは、お店を辞めた後もたまにここに来て、お客さんに麦茶を出したりお話したりしてるんです。

ライター森谷:お客さんとの関係性を育んでいて、素敵です!

お姉さん:もう看板娘みたいな感じです(笑)。お客さんもみんな、「おばちゃん元気にしてる?」っていつも気にかけてくれて。昔からのお得意さんも多いので、居ないと寂しいってよく言ってますね。

お母さん:みんな本当にいい人なのよ。

ライター森谷:お店にはベンチも置いてあるので、交流が生まれやすいかもしれませんね。そういえば、ベンチは活用されていますか?

お姉さん:「ここで食べてもいいですか?」ってベンチで食べていかれるお客さんもいらっしゃいましたね。でも夏は陽が当たって暑いので、最近は店内のレイアウトを変えて、お店の中に椅子を置いてみました。

店内に設置された椅子たちが交流機会をゆるく生んでいます

ライター森谷:お店の中に休憩スペース!斬新ですね。

お母さん:もっと広いところに置ければ、憩いの場になるのかなあと思ってるのよね。

ライター森谷:お店の一角から憩いの場が生まれたらいいですよね。みなさんが思う石橋の素敵なところってどんなところですか?

お姉さん:石橋には「まちを盛り上げよう」と精力的に活動している方が多くいるので、イベントやお祭りが沢山あるところが良いなあと思いますね。いまはコロナ禍で中々できなくなってしまったんですけど、石橋には「みんなで何かをやる」っていう風習が昔からあるので、子どもの頃は色々な経験ができてすごく良いと思います。

私は生まれも育ちも石橋なんですけど、「石橋で子育てしたい」っていう想いがずっとあって、3歳になる子どもをここで育てています。

ライター森谷:幼い頃の経験から「ここに住み続けたい」「ここで子どもを育てたい」という想いが芽生えるって、本当に素敵なことですね。お子さんにも、色々な人と触れ合って色々な経験をさせてあげたいですよね。

お姉さん:そうですね。石橋に住んでいる人はみんなすごく親身に可愛がってくれて、よく話しかけてくれるんです。とても温かいまちです。

お父さん:たまに高校生が塾の合間や学校帰りに食べに来てくれるのも嬉しいよね。

ライター森谷:いまどこもチェーン店ばかりなので、美味しくてボリューミーなのに安い、昔ながらの定食屋さんがずっと残っているって、すごく心がほっとします。今度は友だちを連れて食べに来ます!

経営されているご家族のみなさん

やさしいお姉さんと『高砂食堂』さん(外観)

DATA

  • 店 名:高砂食堂
  • 住 所:〒329-0511 下野市石橋421
  • 電 話:0285-53-0122
  • 営業時間:ランチ /11:30~14:30 (L.O.14:00)夜 /17:30~21:00 (L.O.20:15)
  • 休業日:不定休(電話でご確認の上ご来店ください)
  • 交通アクセス:JR石橋駅西 国道4号線「石橋」交差点より 40m南下 国道4号線沿い
  • 駐車場:有り13台
  • 席 数:36席

まちなかに置いてあるベンチは、単なる休憩のための場所だけでなく、石橋に暮らす温かな人と人とをゆるやかにつなげてくれる『なくてはならないもの』なのだとあらためて感じました。

ベンチがひとつあるだけで、なんだかまちの素敵なところに触れることができるような気がします。さらに、忙しない日々を過ごしている現代だからこそ、ちょっと立ち止まってまちを見渡し、風を感じ、ゆるりと過ぎていく時間を楽しむこともできてしまうベンチの可能性は無限大だとしみじみ。

なにより、グリム通りでお店を営んでいる方々はこころから優しく気さくな方ばかりなので、コミュニケーションを通して癒やされること間違いなし◎老舗店も多いので、昭和レトロな街並みが好きな人・本当に美味しいご飯を食べたい人にはうってつけのまちです!

ライター中山(左)とライター森谷(右):石橋駅前にて

オープンテラス(縁側)を設置した『しもつけしき 石橋縁側』は、令和3年8月1日(日)から11月15日(月)まで。

みなさんも、もう少しコロナが落ち着いたら、ゆるやかで温かな交流や美味しいご飯が楽しめる“穴場スポット多数”のディープな石橋の魅力をぜひ体感しに行ってみては?(因みに、part2ではライターの中山がまちの魅力をご紹介!お楽しみに*)

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