「シモツケ大学」設立に向けてそれぞれの想いを重ねる

かつて石橋駅周辺には多くの商店や飲食店が店を構えていました。活気に溢れ、賑わいある場所でしたが次第に店の数は減り、人が集い楽しむ場所が少なくなっています。当時を知る人やこの街に住む人、関わりがある人にとっては、少し寂しい状況…。

どうしたら現在の風景を残しつつ、日常を盛り上げて次の世代に引き継いでいけるのか。行政と民間(地域プレイヤー)が連携し、新たな「居・職・集・住」を生み出すためのプロジェクト「シモツケ大学」を追いかけました。


地域の現状とビジョンを共有

このプロジェクトの柱のひとつは、石橋駅西口エリアの公共空間の利活用を促進すること。

プロジェクトメンバーには、石橋にゆかりがある人、この地域で活動する人たちが参加しています。2020年7月22日にメンバーが団結してプロジェクトを進めていくため、地域の現状とビジョンを共有し、意見交換を行いました。

石橋駅西口エリアでは、シャッターが閉まっているお店が散見されるほか、取り壊され更地となった所が増えています。石橋庁舎や石橋総合病院のあった場所も一時的に更地となっていますが、跡地はそれぞれ広場、公民館・児童館の複合施設が整備される予定で、エリア一帯での新しい公共空間の活用の可能性が広がっています。

「公共空間を自分たちで上手に活用できれば、賑わいや新たなコミュニティを生み出すきっかけとなるのでは」という切り口から、下野市役所の大塚さんがまちの未来像について話しました。

下野市役所の大塚さん。公共施設マネジメントや公民連携まちづくりを担当。
本プロジェクトでは、地域のビジョンや活動のコンセプトなどの活動の軸を検討する。

「まちなかで若い世代のプレイヤーが活動できる場所や機会が少ないことで、市外へ消費や関心が流出してしまい、地域の賑わいが失われる悪循環につながっていると考えています。まずは、自分たちが暮らす地域に興味を持てるよう、人と人をつなげ、コミュニティを育てることが大切です。意欲のある人が活動しやすくなることで、まちの魅力が増していくと思います。」

より暮らしやすい地域にしようと活動する人が増えれば、自然と地域経済が循環していく。
日常に良い循環ができれば、活気や賑わいが自然と生まれるのではないでしょうか。

 

シモツケ大学のイメージを具体化していく

では、地域に興味を持ってもらうために何をするのか。
絶賛準備中なのが、「シモツケ大学」プロジェクトの立ち上げです。
「シモツケ大学」は、全国的に広がりを見せている、いわゆる「ソーシャル系大学」と呼ばれる、まちなかを「キャンパス」に見立て、街に住む人、関わりある人が講師や生徒となって教え合い、学び合いの活動を参考にしているそうです。
「シモツケ大学」では、まちなかの「こんなことをやってみたい!実現したい!」を形にしていくため、「プレイスメイキング」や「サードプレイス」をキーワードとして、企画・コンテンツを生み出していきます。
「シモツケ大学」への想いや、この取組みを通して伝えたいことを、地域おこし協力隊の鈴木さんが話しました。

下野市地域おこし協力隊の鈴木さん。地域おこし協力隊になる前は、もの作り教室で幼稚園児~高校生を対象に、子どもの興味を広げる活動をしてきた。今後は地域のプレイヤーとして石橋地区の公共空間活用を進める。

「何かを始めてみたい人がシモツケ大学と出会って、一緒に活動していくという過程を大切にしたい。大人だけではなく、駅前通りを毎日通学する高校生も一緒になって活動できたらいいな! 素通りする高校生へ、自分たち次第でまちにいろんな可能性が生まれることを伝えていきたいです!」

また、シモツケ大学の「コンセプト」を考えるため、参加者同士でアイディア出しが行われました。
事務局でも検討中の段階とのことで、「あ~でもない、こ~でもない」と試行錯誤が続いています。
ここで、この日挙がった「シモツケ大学を一言でいうと」の一部を少し紹介したいと思います!

①「沼」
知れば知るほど、関われば関わるほどハマっていく。
どこまで踏む込むかは自主性にゆだねるという、地域との関わり方を表現。

②「途上・on the way」
何か新しいことを始めるときに、結果だけではなくプロセスにも価値があると考え、人と地域との結びつきを生み出す。

これらの提案を受け、参加メンバーからは「みんなの好奇心を満たす『沼』になったらいいね」、「高校生たちがいずれ戻ってくる選択肢になればいい」、「分かりやすい目標があると他のひとを誘いやすい」などの意見や感想が出されました。

「沼」というアイディアを発表した山口さん。 設計事務所「一級建築事務所アンプワークス」を営み、まちづくり会社「一般社団法人シモツケクリエイティブ」の代表理事も務める。下野市石橋地区を愛しており、次世代に引き継ぐ魅力のある故郷について日々考えている。

 

みんなでアイディアを出し合う

新型コロナウイルスの感染予防のために「新しい生活様式」の定着が進んでいます。
その中の一つに、歩道空間の活用が含まれています。

歩道にテーブルや椅子を並べた「オープンテラス」や、外が仕事場になる「オープンオフィス」が全国各地で誕生するなど、3密を避けるために屋外の活用は広がりをみせています。

もし、石橋駅前周辺の閉店している店舗の軒先で同じような取組みができたら、シャッターを開けるきっかけになるかもしれません。「歩道空間を使いたい!」と言ってくれるお店の人を探したり、活用できそうな場所を探したりと、情報収集が必要になりそうです。

現状を把握するために、空き店舗や関わりがある店舗をチェックしていく。

ビジョンの共有が終わった後、参加メンバーからは「高校生たちがいずれ戻ってくる選択肢になればいいな」、「みんなの好奇心を満たす沼になったらいいね」、「分かりやすい目標があると他のひとを誘いやすいな」などの感想をいただきました。
同じビジョンを描いて活動するためにも、感想や意見交換は大事です。今後も、それぞれのメンバーが腑に落ちるまで話し合いが行われ、アイデアのブラッシュアップが行われるようです。

これからも近況をレポートで書いていくのでお楽しみに!
また、活動を応援していただけると嬉しいです。

それでは、また次回のレポートでお会いしましょう。

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